SAT技術
MIT Co., Ltd.(エムアイティ、韓国)は、全自動インライン超音波検査装置(SAT)のSFSATシリーズを開発・製造しています。SFSATシリーズは、半導体ウェーハ、先端パッケージ(アドバンストパッケージ)、パワー半導体モジュール、基板の内部にあるボイド・剥離(デラミネーション)・クラックを検出します。MITはMechatronics Inspection Technologyの略称です。このページでは、SFSATの特長を、特許・受賞・外部評価などの客観的な指標とともに整理しました。SATとは何かは「SAT技術ガイド」に、なぜ必要なのかは「なぜSATなのか」にまとめています。
| 特長 | 内容 |
|---|---|
| 量産ライン向けの全自動SAT | 量産向けの全自動超音波検査装置を韓国で初めて商用化した企業と、韓国のメディアが報道(東亜日報、2026年7月/Startup Today、2023年12月の報道) |
| XYスキャンとマルチプローブ | 正確な欠陥座標を保つXYスキャンに、マルチプローブ並列スキャンを組み合わせて検査速度を向上。検査ゾーンは2つ以上に拡張可能。最大スキャン速度1,200 mm/s(登録特許、技術評価A等級) |
| ディープラーニングによる自動判定 | ボイド・剥離・クラックを自動で検出し、良否を判定(2024年のIR52チャン・ヨンシル賞) |
| 量産ラインでの稼働実績 | 韓国の主要な先端半導体・パワー半導体メーカーの前工程・後工程の量産ラインで稼働中。韓国国外への供給も拡大(2024年の「700万ドル輸出の塔」) |
| 外部評価 | 技術評価(技術性評価)A等級(2026年)、登録特許48件(2026年9月時点)、韓国・鉄塔産業勲章(2023年)、韓国・国家研究開発優秀成果100選(2026年) |
| 人材 | 主要な経営陣・研究責任者の大半が半導体装置業界で20〜30年の経験、従業員の約5分の1が修士・博士号取得者 |
超音波顕微鏡(SAM・C-SAM)は長い間、主に実験室で使われる装置でした。専門のオペレーターが試料をセットして画像を判定する方式です。信頼性試験のサンプル評価や故障解析には適していますが、量産ラインでの全数検査には、スループット(処理能力)や自動化の面で課題がありました。MITは2017年の設立時から、この装置を、量産ラインの中で専門のオペレーターに頼らずに動く全自動検査装置として設計し直すことを目標にしてきました。2020年には、全自動(full automation)の超音波検査装置を開発しました。韓国のメディアは、MITを、量産向けの超音波自動検査装置を韓国で初めて商用化した企業と報じています。(東亜日報、2026年7月22日/Startup Today、2023年12月21日)
全自動インラインの意味は、次の表のとおりです。
| 項目 | 一般的な実験室型SAT(手動・半自動) | MIT SFSAT(全自動インライン) |
|---|---|---|
| 試料の搬送 | 専門のオペレーターが1個ずつセット | ローダ・ハンドラがウェーハ・トレイを自動搬送・アライメント |
| 判定 | 専門のオペレーターが画像を見て判定 | ディープラーニングによる自動判定と良否判定 |
| 判定基準 | 判定者によるばらつき | データで管理する同一基準を繰り返し適用 |
| スループット | 数個の試料 | プローブ数・検査ゾーン数に比例する並列スキャン。検査ゾーンは2つ以上に拡張可能 |
| 工場連携 | 一般に対象外 | 自社開発のSECS/GEMソフトウェアでMES(製造実行システム)と連携 |
| 水の管理 | 試料を水槽に沈める方式(全没水浸法) | ウォーターフォール方式とバブルトラップ(気泡を取り除く機構)により、水との接触を最小限に抑える |
| 反りへの対応 | 平坦な試料が前提 | リアルタイム反り補正(±3 mm) |
超音波検査装置が試料を走査する方式は、大きく2つあります。1つは、プローブ(探触子)が縦と横に動き、格子状に走査するXYスキャンです。もう1つは、ウェーハを回転させながららせん状に走査するスピンスキャンです。スピンスキャンは、高速化しやすい方式です。一方で、測定位置を回転角度と半径から座標に換算する必要があります。そのため一般に、検出する欠陥が微細になり、スキャンピッチが細かくなるほど、座標精度の確保が課題になります。自動判定、レビュー、不良の分類、工程へのフィードバックは、いずれも正確な欠陥座標を前提としています。そのためMITは、すべての測定点が正確なx-y座標を持つXYスキャンを採用しています。
XYスキャンの課題は速度です。1つのプローブで広い面積を細かいピッチで測定すると、その分だけ時間がかかります。MITは、この課題をマルチプローブで解決しました。検査ゾーンごとに、複数のプローブが並んで動き、同時にスキャンします。そのため、座標精度を保ったまま、スループットはプローブ数と検査ゾーン数に比例して増えます。検査ゾーンは、生産量に合わせて2つ以上に拡張できます。最大スキャン速度は1,200 mm/sです。
複数のプローブを同時に使うと、プローブ間に感度のばらつきと信号の位置合わせ誤差が生じやすくなります。MITは、これを補正するアルゴリズムを自社開発しました。2026年の技術評価では、このマルチプローブ方式の高速自動検査プラットフォームがA等級を取得しました。韓国のメディアは、この評価について、大面積のウェーハ、パッケージ、基板を全数検査しながら高い処理速度を実現した点が認められたと報じています。(東亜日報、2026年7月22日の報道)
関連する韓国登録特許には、「大量検査が可能な超音波検査装置」(KR102694850B1)、「マルチラインスキャン情報を用いた反り(ワーページ)検査」(KR102964546B1)があります。「仮想ラインに基づく画像合成による超音波検査システム」(KR102964552B1)なども登録されています。
スループットは、スキャンピッチ、試料、装置の構成によって変わります。試料をお送りいただければ、同じ条件で評価したモデルごとのスループットをご案内します。
量産ラインの検査では、画像を取得することよりも、同じ基準で判定を繰り返すことのほうが難しい課題です。専門のオペレーターが画像を判定する場合、判定者や時間帯によって基準にばらつきが生じやすくなります。全数検査の数量に対応することも困難です。MITは、ディープラーニングによる自動判定システムで、ボイド・剥離・クラックを検出し、良否を判定します。このシステムは、2024年にIR52チャン・ヨンシル賞(蔣英実賞)を受賞しました。同賞は、韓国産業技術振興協会(KOITA)と韓国の科学技術情報通信部が、外部審査を経て授与する賞です。「不良素子の検査および分類方法」(KR102459234B1)など、判定に関する韓国登録特許もあります。
判定基準をデータで管理するため、欠陥の種類・位置・分布を工程へフィードバックできます。これにより、検査はコストではなく、歩留まりを改善する手段になります。
MITのSFSATは、韓国の主要な先端半導体メーカーの前工程・後工程の量産ライン、およびパワー半導体メーカーの量産ラインに導入され、稼働しています。検査対象は、ウェーハ、先端パッケージ、パワー半導体モジュール、DCB(DBC)基板・AMB基板です。供給先は韓国から、台湾、ベトナム、日本、マレーシアなどへ広がっています。お客様の社名は、秘密保持契約(NDA)に基づき公開していません。
2024年には、韓国の「貿易の日」に「700万ドル輸出の塔」を受賞しました。売上高は、2023年の69億ウォンから、2024年は139億ウォン、2025年は149億ウォンに増えました。(監査報告書ベース)
以下の項目は、外部の機関が審査または記録したものです。
| 指標 | 内容 | 時期 |
|---|---|---|
| 技術評価(技術性評価)A等級 | 韓国取引所(KRX)が指定する専門評価機関が、技術の完成度・競争優位性・事業化の可能性を審査 | 2026年7月 |
| 登録特許48件 | 超音波検査システム、マルチプローブスキャン、自動判定、反りのある試料の検査など。出願中を含めると50件以上 | 2026年9月時点 |
| IR52チャン・ヨンシル賞(蔣英実賞) | ディープラーニングによる自動判定SATシステム | 2024年 |
| 韓国・鉄塔産業勲章 | 素材・部品・装置産業の発展への貢献 | 2023年 |
| 韓国・国家研究開発優秀成果100選 | 韓国・科学技術情報通信部が選定 | 2026年 |
| 「700万ドル輸出の塔」 | 韓国貿易協会(KITA)、韓国の「貿易の日」 | 2024年 |
| ベビーユニコーン企業に選定 | 韓国・中小ベンチャー企業部 | 2022年 |
| 認証 | ISO 9001・ISO 14001・ISO 45001、イノビズ(INNO-BIZ、技術革新型中小企業)認証、素材・部品・装置専門企業、優秀企業付設研究所(韓国政府指定)、知的財産経営認証 | 現在有効 |
技術評価は、KOSDAQ(コスダック)の技術特例上場制度で、韓国取引所が指定する外部の専門評価機関が行う審査です。博士レベルの専門家を含む審査団が、技術の完成度、競争優位性、事業化の可能性を評価し、等級を付けます。特許登録証、認証書、受賞歴は、「特許・認証・受賞」のページでご覧いただけます。
装置の完成度は、それを作る人材の経験に左右されます。MITの主要な経営陣と研究責任者には、代表取締役、副代表、研究所長、ソフトウェア・ハードウェア担当の役員などがいます。その大半は、半導体装置業界で20〜30年の経験を持っています。従業員の約5分の1は、修士・博士号取得者です。付設研究所は、韓国政府が指定する優秀企業付設研究所です。超音波検査装置は、超音波の物理、精密機械、モーション制御、画像処理、ディープラーニング、工場自動化ソフトウェアを1台にまとめた製品です。そのため、各分野を量産装置の水準で開発した経験が、開発の速度と完成度を左右します。
試料の評価やモデルのご相談は、SFSAT製品ページをご覧いただくか、[email protected]までお問い合わせください。